40年前のその日は私の誕生日であった
地元の菓子店『柳月』で、初めて行う自分自身の「お誕生会」のケーキを決めることにしていた
www.ryugetsu.co.jp
その日の選択肢は
「バタークリーム」
https://www.ryugetsu.co.jp/lp_anniversary より引用
「うさたん」
https://www.ryugetsu.co.jp/lp_anniversary より引用
の2種類であった
悩む、というほどの時間はかからなかった
ケーキの切り分けやすさと「見た目がかわいいケーキがおいしくないとがっかりする」という経験則に基づき、「バタークリーム」を選ぶこととした
時ははるかに流れ40年。誕生日の1週間前私はあの時と同じ『柳月』の店舗にいた
年を取るごとに、あの日「うさたん」を選ばなかったがゆえに誕生日に買って食べたい気持ちが増してきた
「後悔」とまではいわないが、一度も食べないままでいるのはなんだか自分のためにならない気がした。バタークリームを食べるのがつらいお年頃になってきた。昨年、学校を卒業してからたびたび会っていた知人が亡くなったことで、人生に心残りを残したくない気持ちがより大きくなった・・・・
というわけで「うさたん」を予約し、誕生日に受け取るミッションを敢行することにしたのである
別の買い物も行いレジに並び、会計の際にケーキの予約を行いたい旨を告げる
これまで通りであれば別コーナーに向かい、複写紙の伝票に店員さんが書き込む・・・・はずが、「少々お待ちください」といいスタッフルームへ引っ込む
ふとレジを見ると、先月来たときはお金を取り出すレジだったのに、お金を入れるとお釣りが出るレジに変わっていた。今月から入出金システムを変更したのか
先ほどの店員さんがタブレット端末を携えて戻ってきた。予約もタブレット入力→複合機による伝票打ち出しに変更となっていた
反応がイマイチなのか入力をやり直すこともあったが無事完了。ポイントカードとも連携しているのには驚いた*1
誕生日当日がやってきた
過去のデータを探ると大雪か極寒かしか選択肢がないような日の生まれ。今年は極寒に当たった
平日の午後ということもありスムーズに内容の確認と受け取りを済ませる
そして夕食後両親と私で食べる
見た目は可愛らしい分、カットしたら外側のコーティングチョコレートが割れてなかなかの惨事になった。予想通りではあった
ケーキ内のバタークリームは香料とリキュールが入っているため、思ったよりはするっと入った。周りについている白いバタークリームはどちらもなかったので、温まってしまうと少々きつかったが
もっとバタークリームがきついかと身構えていたので、「思ったよりはおいしいが、子ども向けとしてはちょっとリキュールの香りが強い。意外と大人向け」という感想。40年前に買わなくて正解だ、当時の私。なお、当時買ったバタークリームケーキはリキュールは効いていなかっただった記憶がある
これにて私は40年前の「もう一つの選択肢」を無事回収した
とはいえ、
『柳月』の店舗が移転せず、まして倒産や廃業せずにいられたこと
「うさたん」が廃番にならずに販売されていること
私が無事ケーキを食べられる健康状態であること
私が無事ケーキ代を支払える経済的余裕があること
このすべてが無事にかみ合ったから今日を迎えることができたのだ
そんな私の生きてきた道のり、周りの人やそれぞれを取り巻く環境に思いを馳せ、ケーキを噛みしめた
・・・・と、奇麗に文を締めたいのだが、現実はケーキにがっついて「うまいうまい」とあっという間に平らげてしまったのである
ま、わたしゃ、しばらくは死にそうもないな
*1:柳月は利用状況によってポイントカードの点数が切り替わるのでシステム組む側は楽ではない